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「死都日本」 石黒耀

▶ in その他 posted 2005.06.24 Friday / 00:31

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ご覧の記事は、2005年〜2006年頃に書いたブログ記事です。
「忘れられる権利」の観点より、コメント欄は全て非表示にしました。
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死都日本(にっぽん)」石黒耀(講談社)を読んだ。 

 読書 出版年 : 2002.9 ページ数等 : 520p ISBN : 4-06-211366-X

霧島連山 夕方

 発売されて数年、今更ながらという感もありますが、タイトルと大まかなストーリーだけは知っていたものの、読む機会がなかった訳ですが、先日来霧島山へ登り、火山を眺めていて、霧島の大噴火をあつかったこの小説が読みたくなり、先日、宮崎市の図書館で借りて来た。
(どうもこの本は未だに大人気のようで、予約してやっと借りれた次第です。)

 プロローグは、ローマ帝国ヘルクラネウムの悲劇、西暦79年火山の噴火から始まる。
この数ページのプロローグだけを読んだだけでもこの本に引き付けられてしまう描写は流石だ。 思えばこのどきどきする導入部は>吉村昭の羆嵐以来だ。
 日本列島全体で1万年に一度程度しか起きないはずの巨大噴火が現実に霧島火山帯一帯で起きてしまう。

霧島山御鉢01
 -写真-高千穂峰御鉢-

霧島山は単に加久藤カルデラの一遍、一部の火山にしか過ぎない。

加久藤カルデラの写真 
 [加久藤カルデラ]写真をクリックすると1600pixに拡大します。

主人公らが、霧島から田野†大戸野を超え、220号線†鵜戸†日南へと火砕流を逃れながら逃げ延びて来るというストーリーは場所、地名を良く知っているところという事もあり、手に汗握る大迫力。(このルートあたりです。
 精密にシミュレートした自然災害をテーマとした近未来長編小説は実にリアリティーあふれるものとなっている。

霧島山御鉢02

読書プロローグ
|第1章 蠢動 |第2章 K作戦 |第3章 水蒸気爆発
|第4章 噴火 |第5章 恐怖の大王 |第6章 黄泉
|第7章 彷徨 |第8章 脱出 |第9章 ラハール |第10章 真理 |第11章 神の手
エピローグ

このストーリーは「古事記(日向神話)」と「ヨハネの黙示録」を重ねている事も更に興味深いものとなっている。

ベイエフエムの石黒耀氏のインタビュー記事で興味深いコメントがある。
例えば、イザナミが火の神様を産んだときに死んでしまって黄泉の国に行くというエピソードも、火山の噴火でイザナミが山の母体と考えたら、噴火したことによって母体である山が無くなってしまう=死という解釈であったり、その黄泉の国に迎えに行ったイザナキが逃げてイザナミが追っかけて来た時というのが火砕流だったりとか、そのように考えていくと、つじつまが合うんですね。改めて古事記を読み直してみたりしているんですが、やはり日本の大昔にも、この小説に描かれているほどの災害があったんですね?

小説での登場人物の名前も興味深い。
黒木、岩切、日高、等、宮崎ではポピュラーな姓、随所に出て来る宮崎の“お国ことば”を含め、石黒耀氏はかなり宮崎を熟知しているな†と思ってネットの百科事典ウィキペディアで石黒耀氏について少し調べてみると・・ なるほど、なるほど、宮崎で過ごされた時代があったのですね。どうりて詳しい訳だ。
 石黒耀(いしぐろあきら 1954年 - )は、作家・内科医。ペンネームは黒曜石からとったものである。 小・中・高と広島県で育つ。宮崎医科大学(現・宮崎大学医学部)卒。現在は大阪府で内科勤務医をしている。
少年時代より火山に魅了され、霧島噴火を扱った処女作『死都日本』でメフィスト賞を受賞した。





撮影した写真など・・・作者のPR(^^)
Youtube MORIMORI



ベストセラー小説なので殆日本全国どの図書館にもあると思います。
ローカル話題:宮崎市の方は、宮崎市立図書館でも借りれます。貸し出し状況等はネットで調べられます。

以下のリンクよりamazonでも購入できます。

死都日本 (講談社文庫)

死都日本 文庫本

死都日本 (講談社文庫) [文庫]
内容(「BOOK」データベースより)
西暦二〇XX年、有史以来初めての、しかし地球誕生以降、幾たびも繰り返されてきた“破局噴火”が日本に襲いかかる。噴火は霧島火山帯で始まり、南九州は壊滅、さらに噴煙は国境を越え北半球を覆う。日本は死の都となってしまうのか?火山学者をも震撼、熱狂させたメフィスト賞、宮沢賢治賞奨励賞受賞作。

文庫: 644ページ
出版社: 講談社 (2008/11/14)
言語 日本語
ISBN-10: 4062761955
ISBN-13: 978-4062761956
文庫での発売日: 2008/11/14

死都日本にも出てきます「普賢岳」奇しくも今日の新聞に普賢岳の火砕流で当時取材に当っていて亡くなった報道関係者のものと思われるカメラ等が14年ぶりに発見されたと報道されていた。
1991年の雲仙普賢岳大火砕流では報道関係者、消防団員、警察官ら43人が犠牲になっている。

以前撮影した、雲仙普賢岳や火砕流跡の画像もあったと思うのですが・・
整理してないもので、どこにいったやら。 見つけたらUPします。

いくつか私が興味を抱いたネットの関連リンクを書いておきます。
nextヘルクラネウムの悲劇
(タイトルタグの??連発は何か意味があるのだろうか?不明)
nextある火山学者のひとりごとより BBSのログ
(作者の石黒さんも「あきら」というHNで書いており改訂版等のお話とか興味深いです)
   └ログ1 ログ2
next早川由紀夫研究室next加久藤 火砕流(宮崎)
next名古屋大学防災アカデミー 第9回 「災害国に生きる私たち」講師: 石黒 耀
next現代社会は破局災害とどう向き合えばよいのか
next福岡気象台 霧島のページ
next日本火山の会next小説「死都日本」の舞台を巡る旅
next同じく小説「死都日本」の舞台を訪ねる旅
nextBay FM 78MHzネイチャー・プログラム「ザ・フリントストーン」
小説家・石黒耀さんの大噴火シミュレーション『死都日本』

最後に本の帯より引用
超弩級クライシスノベル<第26回メフィスト賞受賞作>

 本書を読まずして、我らが大地に無自覚に佇むことなかれ…東京大学理学部松井孝典教授大絶賛!

 我々は今、地球システムのなかに新たな構成要素として、人間圏を作って生きている。そんな我々の1年を地球時間に換算すれば、1万†10万年に相当する。 では、そんな時空スケールで日本列島の人間圏を考えたら、我々は何処へ行くのか? それが本書のテーマだ。 『日本沈没』以来久々の、日本の作家にしか書けないクライシスノベルの登場である。
――(東京大学理学部 地球惑星物理学教室教授 松井孝典)


 お薦めします、是非お読みください。


去る三月四日戌時、大隅国曽於郡曽之峯に当りて、火炎大いに熾んにして、響雷の如く動む。
亥時に及びて火光稗止み、ただ黒烟を見る。
後砂を降下五六里に雨らす。砂石委積すること二尺ばかり、其色果し。
 続日本紀に書かれた 788 延暦7年霧島山御鉢噴火の記述

御鉢から 約20Km離れたところで、60cmもの火山灰が積もった様子が示されている。
 当方で、霧島火山の噴火をまとめたもの

[追記] 2008年8月22日新燃岳が17年ぶりに噴火しました。


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以下は、ひむかブログ記事「死都日本」へのコメント(ログ)です。



MORIMORI 2005/08/16 6:44 PM
nanika-possible さん はじめまして
「死都日本」私も一気に読んでしまいました。
読み応えのある小説ですよね。
今日も東北地方で地震がありました。
火山の破局噴火は小説の中でのお話しであって欲しいものです。
今も、新燃岳、高千穂峰の寄生火山御鉢(おはち)は噴煙を上げて活動しております。

nanika-possible 2005/08/16 4:59 PM
はじめまして。
「ぶろぐ村」を経由してきました。
主に耐震関係のエンジニアをしていますが,この本を読んで以来,地震よりも火山の方が怖いかも!?と思いました。
TBもさせていただきました。

MORIMORI 2005/08/06 5:30 AM
piyo_nt さん こんにちは
果たして今の日本で本当に起きたらどうなるだろう?危機管理は?
不安になってしまいます。
「震災列島」はまだ読んでおりません。
「2匹目のどじょう」はいなかったか・・。ナマズでしょうか(~~;)
参考迄私の今いるところも小説では火山灰に埋もれてしまいました(~~;)

piyo_nt 2005/07/31 2:06 AM
こんにちは。
「いつあるか分からないけどいつかくる。」
ホントぞっとしますよね。
黒木先生の必死の逃避行もいいですが、
最後の「記者会見」も好きです。
二作目の「震災列島」は残念ながらイマイチでした。






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