桂大神楽狩衣(かりぎぬ)新しく
村民ら麻糸紡ぎ手作り
諸塚村の諸塚神社(甲斐秀樹宮司)で15、16日、5年ぶりに夜神楽の「桂大神楽」が奉納された。 改元を記念し、約100人の手で麻から糸を紡いで仕立てた舞い手の狩衣も披露。織物と神楽の伝統継承へ思いが込められた衣装が、鑑賞客の・目をくぎ付けにした。
これまで使っていた狩衣は1929(昭和4)年に作られた。新調する狩衣は自らも機織りを行い、「機織りの文化を残したい」という甲斐宮司の妻・志麻さん(58)の意向で、手作りした麻糸を使った。細く裂いた麻を親指と人さし指でねじり.合わせ糸をつくるワークショップを、村内外で開催。高齢者から児童まで約100人が麻糸前10キロを紡いだ。
糸は太さ、よりの強さもばらばら。機織り中に切れたり絡まったりして、志麻さんを含め数人で取り組んだ織りの作業は難航。1月半ばからは染織家の横田康子さん(80)=西都市=が甲斐さん宅に宿泊して作業に当たり、奉納5日前に完成した。
新たな狩衣は桂大神楽の当日、舞い手が羽織って奉納。新旧それぞれの狩衣を着た舞い手の動きに合わせ、袖のたもとがふわりと宙に舞う様子に、鑑賞者が見入っていた。
材料代には、昨年販売した同神社カレンダーの売り上げも充てられた。志麻さんは「手間も時間もかかったし、織り目はがたがただけど、みんなが手を掛けたことに意味がある。神楽や織物に興味を持ってくれたらうれしい」と話していた。 (川原智美)