記紀編さん1300年 宮崎関連     
            

古代日向・神話と歴史の間 古代日向・神話と歴史の間

古代日向・神話と歴史の間 北郷泰道著


〜 今回は本の紹介です。 〜
先日紹介した宮崎県主催の「宮崎古墳講座」でも毎回対談されている「北郷泰道氏」の著書「古代日向・神話と歴史の間」の紹介です。
とかくこの種の本は専門話が長く、読んでるうちに飽きちゃうのですが(^^;)、この本は一つ一つの話題が適度な文長、「記紀神話」なども一部からめた内容など、多岐にわたる話題、興味深々、一気に読める内容でした。特に宮崎県の方には、オススメな本です。
2007年12月発刊


古代日向・神話と歴史の間 古代日向・神話と歴史の間


どんな内容が書かれているか、「見出し」および、巻頭の著者による概要解説を引用して紹介します。


歴史を散策する−序にかえて
 埴輪の憂鬱
 屈折した想い
 歴史の深い森に
 考古学の杖をついて



序の章 「3対7の社会」 その成立と展開

“2007年秋に大阪府立弥生文化博物館で開催された秋季特別展『日向・薩摩・大隅の原像 南九州の弥生文化』 の図録に「南九州の果実と結実〜第三の弥生文化とそれから〜」と題して発表した一文を、副題に示すように南九州の古代史論の新たな視座として収録した。”
  ── 南九州古代史論への視座 ──
一、青銅の神を仰がず
二、第3の弥生文化
 (1)川稲と共に (2)3対7の社会
三、果実の中味
 (1)異彩を放つ住まい (2)交流と伝統の間
四、転位する結実
 (1)社会的な死へ (2)地下の死後の住まい
五、海に開く南九州
 (1)南の島から (2)南の島の先
六、海を行き交う




1の章 古代日向・考古学の散策道

“1997年の1月から12月までおおよそ週一回として、宮崎日日新聞に四十回連載した「考古学の散策道」を、新たな写真・図面等を加えて収録した。
 南九州に視点を据えて、旧石器時代から中近世までを対象として、一回読み切りとした。各時代の要点を摘出し、南九州の歴史の全体像を伝えることを目指したので、各種の講座や大学での講義のテキスト代わりとしてコピーして活用するなど、私自身重宝してきた。また、宮崎県立西都原考古博物館を構想・計画し、設計を進める際にも、プロジェクトチームのテキストとして、まずこの内容を共有することから始めた。謳い文句ではなく、本質的な意味での地域のアイデンティティーを私たちから発信するために、即物的に設計を進めるというより、共通理解を求めつっ新しい発想を出し合ってはもがき続ける日々であった。決して、そうした作業は無駄ではなかったと思う。今、展示の骨格となっている。
 連載から十年はどの歳月が過ぎたとはいえ、内容に大きな修正等を加える必要を感じない。しかし、この間にも新たな成果が蓄積されている。また、連載の枚数等の制限から触れることの出来なかった事などを補筆した。”
第一節 氷河と始源 ── はじまりの足跡
源の足跡 ── 人類史の中で 原風景の誕生 ── 火山災害を生き抜く 
柔らかな手の堅い道具 ── 道具から武器へ ── 情報と技術 ── 地域の個性の原形
焼け石の調理 ── 多様な火の利用

「旧石器捏造事件」と研究者  捏造事件と向さ合う 
「層位」と「型式」「旧人」と「新人」の間で
火山灰を物差しとして

第二節 火山と共生 ── 早すぎた成熟
土器の発明 ── 土器誕生の地南九州 壷という形 ── 文化の成熟
クンセイ″ ── 生活様式の変化 縄文の海と森と山
貝殻文土器 ── 南九州ブランド 住居の住み分けと円環のムラ
弓矢と石器 縄文復古 ── 土偶と南九州

「編年」と「分布」 年輪から年代を測る
AMS法による年代論  縄文の始まりにおける南九州
全体像を現した環状集落 

第三節 稲穂と争乱 ── 第三の弥生文化
青銅器のない社会 水稲と陸稲−内陸部での稲作
環濠集落−矛盾と危機管理 平野部の畿内・瀬戸内との密接な関係
山の土器文化  地域の個性を映す土器  完璧という名の穀璧
絵画によるコミュニケーション 個人の死から社会的な死へ
世界史との連動 南九州と内陸部の稲の入口
3対7の弥生社会 松浦武四郎の玉壁
玉壁入手の周辺

第四節 墳墓と祭政−背反する握手
前方後円墳の誕生 西都原古墳群の語ること 西都原と新田原 ──
首長墓城の変遷 海を支配する首長 炉から竈へ ── 住いの形の変化
統一と対立 ── 中央と地方と辺境と 文化を生み出す農業

南九州独自の墓制・地下式横穴墓 埴輪のない南九州
「鏡」がやってきた  武装した女性たち
前方後円墳の初現と「畿内」王権 埴輪出土の新たな展開
高塚古墳と地下式横穴墓 前方後円墳と地下式横穴墓
地下式横穴墓の分布圏の拡大と終末 韓国の横穴墓
馬埋葬士坑の発見

第五節 国家と祭政−囲われた都鄙
国衡と国分寺 「官」から「民」へ 呪力をもつ文字
堀で自衛する中世 砂上の天守閣 東大寺の虹梁と白烏山
国衛政庁跡の確定 中世城跡の国指定
画期的な山内石塔群の調査 考古学からみた中世
陶磁器類の交流と交易




2の章 日向神話の考古学

“2005年から2006年にかけて宮崎サンシャインエフエムのフリーペーパー『ONAIR』に連載した「古代日向の歴史散策−神話と歴史の問1」を再編集のうえ加筆して収録した。なお、「木花開耶姫の考古学」と「『日本神話』を解く鍵」は新たに書き下ろし、「雄略天王と眉輪王の考古学」は、連載の最終回として書き上げたが、都合により活字化していない一文である。”
はじめに
「日向神話」へ 

第一節 檍原(阿波岐原) の考古学
禊ぎ祓い伝承の地 考古学から見た黄泉の国 阿波岐原周辺の遺跡

第二節 高千穂の考古学
降臨神話の世界性 二つの「高千穂」 北の高千穂の考古学
南の高千穂の考古学 

第三節 木花開耶姫の考古学
永久の磐と儚い木花 海を望む首長達
「神の稲の穂」という名の古墳

第四節 海幸と山幸の考古学
海幸・山幸の不幸な関係 隼人の楯  考古学から見た海幸・山幸

第五節 東征・西征の考古学
東征・西征のあらすじ  神話の整理箱 景行天皇と日向
考古学から見た東征・西征

第六節 仁徳天皇と髪長媛の考古学
男狭穂塚・女狭穂塚の解明 被葬者の謎を解く 

第七節 雄略天皇と眉輪王の考古学
日向系の断絶 変わる勢力圏と日向 

第八節 「諸県君」の考古学
「日本神話」を解く鍵 諸県君の実像 闘う女性たち




3の章 歴史を大地に読む

“西都原古墳群の盟主墳、陵墓参考地男狭穂塚・女狭穂塚の測量調査・地中探査の成果について、宮崎日日新聞に折に触れて掲載した文章を中心として、写真・図面を加え補筆して構成した。
 これらは、特に「日向神話」の位置づけを正確に理解し、歴史的事実との関係を明確にしておく必要がある、と切実に感じたからであった。神話と歴史の錯綜は、今日もまだ多くの人々をとらえて放さない。しかし、考え方は明瞭なものだと私は考えている。神話、とりわけ『記・紀』に描かれた世界は、八世紀初頭の人々が、自ら何処から来たのかという「心の旅路」と、自分たちは一体何者であるのかという「存在証明」を、もっぱら心象風景の中に紡ぎ糾そうとしたものである。だから、そこには「歴史的事実」を求めるのではなく、歴史観・世界観を舞台とする「観念的真実」というべきものを求めるべきなのである。この両者を混同することさえしなければ、何らの問題も生じない。”
第一節 測量図は語る

第二節 最先端技術で読み解く ── 謎解きの輪郭
男狭穂塚は柄鏡形前方後円墳か 男狭穂塚・女狭穂塚の規格と
規模は? 両壕の標準標準型式は?

第三節 巨大古墳に眠る被葬者
古代日向の一大プロジェクト 両古墳は計画的に築造された  被葬者は髪長媛と牛諸井父娘

語り継ぐ歴史 あとがきにかえて



ネット通販リンク

発売日: 2007年12月16日
著者/編集:北郷泰道
出版社:鉱脈社
サイズ:単行本
ページ数:263p

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古代日向・神話と歴史の間 北郷泰道著(本の紹介)


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