一、尾八重よいとこ一度はおじゃれ
尾八重女とめ女の出たところ
二、尾八重祭りにゃ皆出てごじゃれ
でてくりゃ抱え込む納屋のすみ
三、尾八重神楽の舞ぶり見やれ
どこへ出しても恥じゃかかぬ
四、囃子下され上手も下手も
下手は下手なり味がある
五、こんげ舞うのに囃さぬ者は
何か想いのある人よ
六、私が唄おうとうたら向うから告げた
昔なじみが今知れた
七、昔なじみとけつまずいた石は
憎いながらも後を見る
八、二度と持つまい川越しなじみ
空が曇れば気にかかる
九、私の心と向えの空は
いつも青々待つばかり
十、つらい我身はまだ来ぬ春よ
あなた待つ身のほととぎす
十一、神楽舞うとて囃さぬ下度は
唄を忘れたほととぎす
十二、丘の鳥でも唄わぬトキは
我が子育てに羽を抜く
十三、親は樋竹、子は樋の水
親のやる先ゃどこまでも
十四、想ううて来たのに水かけられて
私の思いは水の泡
十五、想い益々日にゃ二度三度
月にゃ百度も二百度も
十六、惚れてなるまい他国のひとにゃ
末はカラスの泣き別れ
十七、末はカラスの泣き別れでも
添うて苦労がしてみたい
十八、あなた百までわしゃ九十九まで
共に白髪の生えるまで
十九、私とあなたは、みかんの接ぎ木
今はならねど末は成る
二○、私とあなたは、梨の木育ち
梨も無しよかいしょ無し
二一、死んでなるかよ未練のままで
死んで花実が咲くじゃ無し
二二、死んで花実が咲くならば
寺や墓場にゃ花だらけ
二三、鳥は唄てもまだ夜は明けぬ
明けりゃお寺の鐘が鳴る
二四、あなたゆえなら五本の指も
切ってやりたい爪ばかり
二五、切れた切れたよ唄の音が切れた
腐れ縄よりゃまだ良く切れた
二六、神楽舞うと言うて人呼び寄せて
神楽舞わなきゃ太夫どんの恥よ
二七、切って下され四人神崇
早く切らなきゃ夜が明ける
二八、綱ん神楽の舞い振り見りゃれ
付けて唄うよ明けガラス
二九、切ってくりゃんにゃ今宵の縁は
深い谷間の縁じゃもの
三○、あなた正宗わしゃ錆刀
あなた切れてもわしゃ切れぬ
三一、憎いにわとり夜明けのカラス
可愛いあの娘の目を覚ます
三二、今朝の寒さに笹やぼ越えて
笹の露やら涙やら